働かない勇気
用事は特にないのだが、有給休暇を取った。しいて用があるというならば、簿記勉強で疲れた脳をリセットし生活の体制を整え、3月の準備である。
気持ちの切り替えが苦手なわたしは、うっかりするとダラダラ、ズルズルになりがちだ。簿記一色で終わった2月。当然試験終了後は解放感たっぷりで、ご褒美モードにはならなかったものの休憩モードが半端なかった。このままリセットしなければ、3月までずーっと休憩モード。仕事までフェイドアウトしてしまうのではないかと、警戒スイッチが押された。
金欠春の陣開戦のため、開放感たっぷりに飲食・遠出は出来なかったけれど、サイクリングや散歩、ブログの見直し、読書などに時間を使うことができた。
ラスト1日、今日は何をしよう。まず、昨日うっかり寝落ちしてしまい読了できなかったアルケミスト 夢を旅した少年 (角川文庫)を読み終えよう。
久しぶりの再読になるのだが、結末が思い出せず読みだした。エジプトにある宝を目指すよう夢からのメッセージを受け旅に出た少年の話だが、夢を信じで行動した結果と宝とは何かという肝心なことが思い出せずに読み始めた。
結末だけ読んでしまえばよかったが、せっかくなので少年が旅先で学んだことを、今の自分がどう受け止めるかも知りたかったのだ。
初めに読んだときは、まだ占いやスピリチュアルを特別なものと思っていた頃だった。旅先で出会う賢者や錬金術師のいうことが新鮮で、まるで何かの宗教にでもはまっていくかのように読み進めた記憶がある。若かったという言葉で片づけてしまうのは、今の自分が老いたというだけのことになってしまうが、感覚的には大人になったのほうがしっくりくる。成長したと言っておこう。
iPhoneに着信通知が入る仕事のメールが気になるものの、今日は休暇を取っているのだ。5分10分で対応できることは済ませてしまいたいが、心を鬼にして休暇を取る。後ろ髪をひかれたままでは休んだ気にならないかもしれないけれど、気持ちの切り替えの練習だと思って休暇を取る。あてのない休暇を取る。
着信がならないようにアカウントをログアウトしてしまえばいいのだが、自分の主体性を取り戻すためにもあえてしない。自分を大切にすること。自分の休暇を優先すること。つぶれず働き続けるための「いい加減」を身に付けよう。
これもまたひとつの成長だと思って。
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